ツァラトゥストラが何と言おうとも

たまに書いていこうと思います。ジャンルはばらばら。

ZORN「かんおけ」どれだけ韻踏んでるのか洗い出してみた

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 ZORNというラッパーをご存知だろうか?
「ラップ?東京生まれヒップホップ育ち、ワルそうなやつは大体友達、みたいなやつでしょ?」
「不良っぽい音楽で、YO!とかチェケラッチョ!とかいうやつでしょ?」
という方たちはおそらく聞いたこともない名前だろう。

かくいう僕も彼を聴き始めたのは最近で、かなりニワカで素人です。

 

つい先日、12/27に恵比寿リキッドルームで行われたZORNワンマンライブ「お父さんといっしょ」に行ってきた。

 

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もうね、最高。最&高。

あ、最高ってここにあったのかと。向かいのホームでもなく路地裏の窓でもなくて恵比寿にあったんだ、という感じ。

格好良さ、面白さ、切なさ。全てがそこにある最高の時間だった。

まあ、僕の感想はさておき、ライブの際に改めて思ったのが、ZORNライミング(韻を踏むこと)ヤバすぎない??ということだ。

 

韻を踏む、とはどういうことか。簡単に説明しよう。あくまで僕の解釈によるのであんまり信用しないでね。(ちゃんと説明するのは難しくて大変なので…)

大別すると5種類に分けられる。

①脚韻(言葉の最後で韻を踏む)

ex)・はずむズム・ありがとう、オリゴ

②頭韻(言葉の最初で韻を踏む)

ex)・Coca Cola ・ってぶとの緒を締めよ

③母音を合わせる

ex)・嘘つけないぞ、黒船来航(u o u e a i o)

④子音を合わせる

ex)・アルミ缶の上にあるミカン

詳しくはこちらのサイトで紹介されているので是非ご覧になってください。

フリースタイルダンジョンの韻を解説する(初心者向け) - 韻 fumu.in

韻を踏むってどういう意味⁉韻を踏むための4つの方法。 | Kyohu

 

さて、韻を踏む説明はこのへんにして。

ZORNというラッパーについて、背景や生い立ちなどをガッツリと説明したいが、今回は割愛して「かんおけ」という曲のみを韻に着目(主に母音を合わせる韻)しながら紹介したい。
彼自身の説明は以下の記事が分かりやすくまとめられているのでオススメだ。

ZORN【ラッパー解説】ストリートから日常の幸せへ。フリースタイルダンジョン制覇の可能性がある1人だが・・・ - レペゼン社会不適合者

ZORNが好きすぎる件 | 日本語ラップ.com

 

 

さて、ようやくここから本題だ。

「かんおけ」は曲名の通り、彼の身の回りにおける生死を通して死生観について歌っている。この曲の韻の踏み具合は凄いを通り越して恐怖すら感じる。

もはや韻を踏んでいない箇所を探す方が困難なレベル。韻を踏みながら歌詞として一切の破綻がない。

 

そこで思い立った。

この曲、どれだけ韻を踏んでるのか洗い出してみよう。

僕がこの曲を聴いて韻を踏んでいると認識できた箇所を太字で示した。

韻の説明同様、あくまで僕の考えなので

「あそこも踏んでるだろ!」

「いや、そこは踏んでなくね?」

という箇所もあるだろうが、素人の戯言だと思って大目にみてください。(歌詞を見ると母音があってないように見えるが、歌い方によって韻を踏んでいる、というのもカウントした)

 

それではぜひ歌詞を見ながらお聴きください。

ZORNで「かんおけ」

 


かんおけ

 

 

【歌詞】

子供の頃見たもの

心の底今も残

 

ばあちゃんが俺の手を引いてる 

古びたモリーレー

 

誰の人生も着火済みロウソク 

過去は霞み 遠退く

 

ぼんやりとその記憶
思い出し向かう老人ホームロビー奥

 

認知症のばあちゃん 孫の顔も蜃気楼の中

 

なにももう覚えてない末期症状
おまけにパーキンソン病

足と両手が震え続け

封じようがない 不治の病
橋が崩れてく後ろから 雄基と名前を言っても

 

忘却の彼方にある焼却炉の中
弱るその体 小さく感じた姿に胸が痛くなる


い一室 孤独を窺い知る
侘しい82才の手に重なる9才と7才の手


その光景もいつかはモリーレーン
こうって言って今度は俺が手を引いてく

 

生まれた時がスタートで 死ぬまで落ちる砂時計

だけどガラスは曇ってて 残りの砂は見えない

 

喪服を着てお通夜に 死者に弔い

生者にお悔やみ

 

親戚の伯母さんは余命宣告され去年天国

後世へと路線変更 御霊前と線香

 

手向けの花 遺影はかつてのまま

 

生きてるような死に化粧

まるでイミテーション

 

見ただけなのに氷に手を触れたみた

 

お経と木魚  南無妙法蓮華経

 

皆 何を思って想 安らかにと冥福を祈

礼服の人永久の沈黙

 

セレモニーホールの火葬場

遺族の顔には  物静か喪失感

 

余りに計り知れない

悲しみを残し墓石へはい

 

森羅万象 輪廻転生

死んだ後 誰も知らない所

 

今日は別れた恋人たちも

生まれ変わってもう一度会うらしい

 

生きるも死ぬも一緒同義語

生も死もきっとご近所 一本の糸

人の一生 リリックノートが俺の遺書

 

死ぬ前にどう生きて
死ぬ前にこう生きて
死ぬ前に放棄したら
死ぬ前にもう死んでる
死ぬ前に人を愛す
死ぬ前に家族にキス
死ぬ前に何か残す
死ぬ前にありがとうを言う

明かりが灯る 


一度きりの人生 1秒1秒死へ

日常に忍び音(ね) 霧も切り通して

未知の道を行け 生きろ嬉々として

日々の意味を知れ 木々の幹の威厳

ミリの塵の人間

明日のことなんsiriも知りもしねぇ

 

でもまだ未来は俺等の手の中
今動いた嫁のお腹

 

僕の独断と偏見による太字の箇所は99カ所だった。

上記の歌詞を見てもらえれば理解してもらえると思うが、ほとんど踏んじゃってる。ねこふんじゃった、みたいな感じで踏みまくってきやがる。

ホント頭おかしい。(褒め言葉)

 

今回は「かんおけ」のみを紹介したが、他にも素晴らしい曲はたくさんある。興味を持った方は是非youtubeなどで検索してみてほしい。

僕のオススメはZORN最大のヒット曲である「My life」、妻の連れ子2人に向けて歌った「Letter」、ZORNの背景をとにかく格好良く歌っている「Back bone」などだ。

 

僕のことは嫌いでも、ZORNのことは嫌いにならないでくれ、いや、好きになってくれ!聴いてくれ!頼む!