ツァラトゥストラが何と言おうとも

たまに書いていこうと思います。ジャンルはばらばら。

欅坂46「青空が違う」をみんなもっと聴いてくれ

 

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欅坂46というアイドルグループをご存じだろうか?

ここでの説明はあえて省こう、知らない人はwikipediaを見て、youtubeでいくつかの

楽曲をチェックしてみてほしい。

今回の記事は欅坂46自体を紹介したいのではなく、タイトルの通り、ある楽曲について紹介したいだけなのだ。

欅坂46のファンでない限り、この曲を知っている人はかなり少ないのではないだろうかと思う。

この曲、実は正確にいうと欅坂46の曲ではない。

グループ内ユニット「青空とMARRY」志田愛佳菅井友香守屋茜渡辺梨加
渡邉理佐の5人によって構成)の楽曲である。
 

 

とりあえず聴いてみてほしい↓

www.youtube.com

聴いていただけだろうか?

可愛いメンバーによる、可愛いメロディ、可愛い歌詞、という三拍子そろった王道の

アイドルソング、といった印象だと思う。まぁ可愛い、とにかく可愛い。

 

ただ、この曲、ただ可愛い、で終わらせてしまってよいのだろうか?

作詞は例のごとく秋本康だが(本当に書いてるの??)、彼はこの曲にどのような意図を込めたのだろうか?

秋本氏の意図は想像することは可能であっても、正しく理解することは不可能だ。

そこで、僕が勝手に想像し(妄想し)、こんなストーリーだったらエモいな・・・、

このストーリーでドラマ化して欲しいな・・・と思っていたことを述べてみようと思う。

ここからは単なる自慰行為だ。でも、ブログってみんなそんなもんでしょう??

 

【歌詞】

初めて来た都会は人と人を
洗濯機のようにかき混ぜている 
テレビで観てたあの華やかさは 
秩序のないエゴに見える 
 
Siriで聞いた
あなたの住所まで
いくつも電車を乗り換えながら 
標準語しか聞こえない車内は 
降りる駅を間違えそう
私が勝手に押しかけた
遠距離恋愛 一目だけ会いたくて…
 
だって久しぶりの電話中
ずっと咳をしてたから
急に気に
なってしまった
遠くで暮らさなきゃいけないほど
夢はそんなに大事ですか?
青空 どこか違う
 
写真で見たアパートのドアが開き 
風邪で辛そうなあなたを見たら
何も言えなくなって抱きついて 
涙溢れて止まらない
 
散らかった部屋のあちこちに
あなたの努力と 闘いの日々がある
 
来るとわかってたらいつだって
君を迎えに行ったよと
鼻声で叱られたけど
寂しさ我慢しなきゃいけないほど
夢はまだまだ未来ですか?
青空 窓に見えない
 
ひまわりの種を持って来た
鉢植えの土に埋めよう
いつの日か花を咲かせて
太陽がある位置を教える
忘れないで 青空を…
 
久しぶりの電話中
ずっと咳をしてたから
急に気になってしまった
遠くで暮らさなきゃいけないほど
夢はそんなに大事ですか?
だけど言えなくて
 
風邪が伝染るからとキスしない
そんなあなたに背伸びして
強引に
キスをしちゃった
本当は一緒に帰って欲しいけど
夢を絶対叶えて欲しい
青空 少し見えた
 
青空 どこか違う
 
~~~~~妄想~~~~~
舞台は四国。瀬戸内海に面し、山に囲まれた田舎の小さな町。
地方公務員の父、短大卒の母を持ち、一人娘として厳しくも愛されながら育った少女。
実家が3代続く酒屋で、ガサツな父親と大らかな母親の間に生まれ、8歳下の妹を持つ少年。
 
きっかけはもう、思い出せない。小学生の頃からの幼馴染みの2人の間に友情を超えた感情が生まれたのはいつだっただろうか?
この気持ちが恋心であることを自覚したのは少女が先だったかもしれない。
けれど、恋心と気づいていなかったが、(あるいは気づきたくなかっただけかもしれない)かすかな、しかし確かな痛みを胸に感じたのは少年が先だったのかもしれない。
2人は自然と惹かれあい、紆余曲折を経て、高校生の頃に付き合い始めた。
恋人である前に幼馴染みであったので、付き合い始めたとはいえ関係性が変わることはなかったし恋愛的な意味で進展するのは世間一般的な高校生カップルたちに比べればかなり遅い方だったが、ゆるっとした幸せな日々を過ごしていた。
 
付き合い始めて約1年が経過した高2の秋。
高校生には避けられない進路という大問題。
ただ一日一日を過ごしていた高校生たちに、数年後、数十年後を想像しろ、やりたいことを考えろ、と突きつけられる唐突な至上命令。
地方の進学校に進学した2人だったが、2人の将来設計は大きく異なっていた。
 
少年は東京に行きたかった。ただこのまま実家の酒屋を継いで、親父のように、ずっとこの小さな町で過ごしたくはなかった。中学生の頃に修学旅行で訪れた東京は、少年の心を一発で撃ち抜いた。弁護士になる。その夢を叶えるだけならばきっと地元の大学の法学部に進学しても可能だろう。だが、少年はあの東京に行き、あの東京で学び、あの東京で弁護士になりたかったのだ。
 
一方少女は、父親と同じ道にいこうと決めていた。この町が好きだし、中学生の頃に修学旅行で行った東京は私には合わない華やかな街だと思った。
この町を離れることなんて想像したこともなかった。何の面白みもないけれど、今の成績なら合格は余裕、家から通える国立大学に進学し、地方公務員になって堅実に暮らしていこうと思っていた。
彼が酒屋を継ぎたくないことはうすうす感じていたし、弁護士になりたいという夢を抱いていることも風のうわさで聞いていた。
 
「ーーーねえ、進路、もう決めた?」
2人の間ではなんとなく避けていた話題。口火を切ったのは彼女の方だった。
「弁護士になりたいんだよね。親父にはまだ話せてないけど、酒屋は
継ぎたくないんだ」
「そうなんだ。すごいなー、弁護士かぁ。三大資格だもんね」
「お前は?」
「私はまだ全然。でも一応、志望校は決めたよ。四国大の教育学部教育学部ってみんな先生のなるのかと思ってたけど、そうでもないんだね。とりあえずそこにいって、公務員になりたいなぁとは思ってるけど。。。弁護士ってことは法学部だよね。四国大さ、医学部と法学部がダントツでモテるらしいよ~笑」
彼が黙る。もう長年の付き合いだ。私はすぐに理解する。この表情を見せるのは大抵、私が地雷を踏んだ時だ。
 
「・・・いや、俺さ、東京に行きたいんだよね。成績的にはまだ厳しいんだけど、
東大に行きたくて」
少しの間。その一瞬は、永遠を超えるような。
「そ、そうなんだ!と、東大かぁ・・・。すごすぎて想像もできないや」
ーーーうまく、笑えただろうか?私は上手に、何事もないように振る舞えているだろうか?いつもより過剰な笑顔を私は無理矢理貼り付ける。
 
彼が東京の大学に進学するつもりだというのにはとても驚いた。だって、話したことはなかったけれど、私と同じあの大学の法学部に行くものだと思っていたから。
なんで?と言いたかった。
私と一緒の大学に行きたいと思わないの?と聞いてしまえるのならば楽だった。
彼の夢は応援したい。これはまぎれもない本心だ。でも、それでも、この気持ちもまた本心なのだ。
 
彼は父親との幾度もの話し合いを経て、在学中に司法試験に合格すること、授業料免除になる成績を維持することを条件に、東京の大学に進学し、弁護士を目指すことを認められた。
彼は未だC判定が並ぶ一歩上の大学を目指し、目を覚ましている時には常に勉強にあてるような生活になった。私は10回受けても落ちることはないような成績だったが、別離の恐怖を考えないように勉強に没頭した。
 
あっという間に時間は流れ、私は前期試験で合格した。彼は、残念ながら不合格だった。
浪人も視野にいれていたようだが、なんとか後期試験で滑り込み、見事2人とも現役合格を果たした。
 
 
別れは、あっさりとしたものだった。
2人の最寄駅のホーム。本数が少ないこの駅では珍しく、その場にいるのは2人きりだった。
 
「まあ、色々連絡するよ。LINEもするし、電話もする」
真っ黒で大きなスーツケース。彼はこれだけ持って、あの東京にこれから向かうのだ。それも1人で。
「うん。東京の可愛い子に浮気すんなよ〜」
いつものように茶化しておどけてみせる。
だって、そうでもしないと、堪え切れない。
「するわけねえだろ」
彼らだけのホームに放送が鳴り響く。電車はもうすぐだ。
まあ、なんだ、休みの度には帰ってくるから。元気でな、お互いに」
「うん、お互いに。あんまり無理しないで」
「いやー、在学中に司法試験通らないといけないから、多少の無理はしないとなんだよな…」
出会ってからもう12年。私たちは初めて、遠くで暮らすことになる。
遠くの親戚より近くの他人、そんな言葉が脳裏によぎった。
「じゃあ、行くわ」
「うん」
遠ざかって行く電車。気が抜けたように立ち尽くし、あっという間に見えなくなった。
ふと、空を見上げる。まだ肌寒さは残るけれど、雲ひとつなき綺麗な青空が春の到来を知らせているようだった。
 
 
慣れない新生活は時計を早送りにした。
私は民謡合唱研究会の活動と、駅前に新しくできたレストランのアルバイトの2つが生活の主軸となった。
一方彼は、司法試験予備校と大学とのダブルスクールをしつつ、予備校代を捻出するために居酒屋でアルバイトを始めたらしい。
毎日だった連絡の頻度は自然と、2日に一度、3日に一度と減っていった。
仕方なかった。それでも私は、彼以外の男性を恋愛的に好きになる想像すらもできなかった。
 
気付けば長かった梅雨が終わり、夏が始まった。私は地元の夏が好きだった。どうしようもない暑さだけれど、山も海も、夏が1番輝いているからだ。
東京も夏に入ったのだろうか。まあ、離れているとはいえ所詮数百キロ、気候なんてそんなに変わらないか、なんてことを考えていると携帯が鳴った。週に一度は電話しようと決めていたが、試験期間は控えていたので実に3週間ぶりの電話だ。なんだか少し緊張してしまう。
 
「もしもし、ごめん、ちょっと鼻声で聞き取りにくいかも」
久しぶりの彼の声は、咳混じりで、鼻声で、本当にひどいものだった。
そういえば季節の変わり目に弱くて、初夏には風邪を引くことが多かったなぁなんて思い出す。
「ちょっと、大丈夫?病院行った?ご飯とかは食べてる?」
母親みたいだな、なんて鼻をすすりながら笑う。笑い事じゃない。
「病院は行ってないけど、まあ風邪薬飲んだし大丈夫でしょ」
他人事のように考えるあなたと、他人事には思えない私。昔からそうなのだ。この人は、自分に関する頓着がなさすぎる。
「風邪といったって、こじらせたら相当キツイでしょう?熱は?」
「多分ないよ、あっても微熱」
私まで熱が出そうだ。この人、体温計すら持ってないなんて!
「バイトは休ませてもらってるし、大丈夫だよ。それよりさ、この前の試験なんだけどーーー」
それから後の話は、申し訳ないけれどほとんど頭に入ってこなかった。咳ばかりしている声が私を集中から遠ざける。
「とにかく、今日は早く寝てね。治るまで安静にしてよ」
「大げさだな、分かってるよ。じゃあ、また来週」
電話が切れる。まぁ、どうせいつもの軽い風邪だろうという楽観と万が一があったら…という悲観がせめぎ合う。
 
その夜、嫌な夢を見た。
風邪が治らぬままバイトに復帰し、予備校と大学にも通い、疲労がたたってスクランブル交差点の真ん中で倒れる彼。横たわる彼に目をくれるのは周りのわずかな人間だけで、救いの手を差し伸べる者は誰もいない。
 
「うっわ、倒れてんじゃん」
「酔っ払い?アル中?」
「邪魔だなオイ!こんなとこで寝てんじゃねえよ!」
そんな罵声だけが彼の上を飛び交う。
私はその一部始終を目の前で見ているというのに、身体を動かすどころか声を発することさえできない。
 私は耐えきれなくなって目を閉じた。
 
夢はそこで終わった。
寝汗でぐっしょりの身体が不快だが、それよりも心的なダメージが響いていた。
気分を変えようとカーテンを開ける。途端、あまりの眩しさに目を細めた。
そういえば昨晩の天気予報で、明日は雲ひとつない夏晴れで、記録的な猛暑になると言っていたっけ。
 
そうだ、東京、行こう。
 
だってあまりに天気がよかったから、なんだか君に会いたくなってしまった。
時刻は朝7時。siriに彼の家までの行き先を尋ねてみる。どうやら、夕方には着けるらしい。
生まれて初めてのサボりになっちゃうけれど、1日くらい許してもらえるはずだ。
 
 
東京の駅は私にとって迷宮だった。
私の最寄駅には3つしかない自動改札はどの駅にも数え切れないほどあり、かつ、それらのすべてを常に人が行き交っている。
引っ越した時に教えてもらった君が住む学生アパートの住所まで、あと2回乗り換えなくてはいけない。標準語しか聞こえない車内は降りる駅を間違えてしまいそうだ。
着く前に連絡した方がいいのかなと悩んだけれど、勝手に押しかけてみることにした。
まさか私が学校をサボって東京に来るなんて夢にも思わないだろう。
驚く君の顔を想像する。そこには、人波に飲まれそうになりながらニヤニヤしてしまう私がいた。
 
恐る恐るインターホンを押す。
写真で見たアパートのドアが開く。思っていた通り、風邪で辛そうなあなたが出てきた。
「…え?なんで…?」
キョトンとした顔。予想していたよりもずっと間抜けだ。
なのに、全然、笑えない。
ーーーあぁ、だめだ。
何も言えない。溢れる想いは止まらないのに言葉にできない。行き先を失ったそれは、涙になってこぼれだす。
私はありったけの想いを込めて抱きついた。
 
 
「…取り乱してごめん…」
これじゃあ、どっちが介抱されているんだ分からない有様だった。
「落ち着いた?いやー、ホントにめちゃくちゃ驚いたよ」
ここ、分かりづらかったろ?なんて言いながらお茶を用意してくれている。
改めて部屋を見渡す。参考書やノートで散らかった六畳のワンルーム。そのあちこちにあなたの努力と闘いの日々があった。
「来ると分かってたらいつだって迎えに行ったのに。連絡しろよな。部屋だって片付けといたのに」
鼻声で叱る君の姿が、今はなんだかとても愛おしい。 
同時に思う。もう後何時間後には私は1人で東京を発ち、明日には四国に戻っている。久しぶりに会えた喜びがこれからの寂しさを引き立ててしまうのだ。
寂しさを我慢しなきゃいけないほど、君の夢はまだまだ未来なのだろうか?
遠くで暮らさなきゃいけないほど、夢はそんなに大事なのだろうか?
離れて半年が経過した。もう半年だけれど、まだ半年でしかない。
カーテンの隙間からは今の私の気持ちを映したかのような曇天が垣間見える。
 今朝はあんなにきれいだったのに。東京では青空が見えない。
 
熱を測らせてみると38度もあった。
買ってきたゼリーとポカリスエット、風邪薬を飲ませる。
「明日の朝も引いてなかったら病院ね」
「わかったよ」
「とりあえず寝て!早く!」
やはり疲れがたまっていたのだろう。彼はすぐに眠りについた。
寝静まった彼の部屋に一人。
置き時計が時間を刻む音だけが響く。
「・・・とりあえず、片付けよう」
 
 
それなりに散らかっていた部屋だったが、なにせ六畳一間の狭い部屋だ。
1時間ほどでほとんど片付いた。
ーーーよし。じゃあ、アレをやろう。家を出る前に思いついたちょっとしたいたずら。
入居と同時花を育て始めていたようだが枯らしてしまったようで、持て余した鉢植えがあると言っていたのを覚えていたのだ。
持ってきたのは、私の家で育てているひまわりの種だった。
こんな小さな鉢植えでは到底育てられない。
大きくなったら私の身長すら超えてしのだから。
きっと、咲かないだろう。当然だ。普段ほとんどカーテンを開けない生活を送っているのだろう。埃の積もり方を見れば明らかだった。
大きな花を咲かせて、太陽の位置を彼に教えてあげてほしい。
離れていても空はつながっているのだ。今日は四国と違ってあいにくの曇り空だけれど、いつかきっと同じ青空が見える日が来るかもしれない。
 
幸いなことに熱は下がっていた。
咳はまだ残っているようだが、どうやらただの夏風邪だったようで、もうじき回復するだろう。
「じゃあ、そろそろ行くね」
名残は尽きない。
本当は一緒に帰って欲しい、なんて考えてしまう。
「あぁ、助かったよ。次はちゃんと来る前に連絡しろよな」
だいぶよくなった顔色で頬笑む君。
うん。今はそれだけで十分だ。
「夏休みには帰るよ」
「無理しすぎないでね」
あのときと同じあっさりとした別れだ。
…いやまぁ、別に不満はないけれど。
「ねぇ」
振り返り一歩踏み出す。
背伸びする私。
2人の距離は一瞬ゼロになった。
「ーーー風邪が伝染るからダメって言ったのに」
照れながら怒る君。
自分から仕掛けておいて小っ恥ずかしくなる私。
「伝染ったら看病しに来てね。
じゃあ、バイバイ」
返事を待たずに歩き出す。
名残は尽きないけれど。
東京で1人、夢に向かってひた走る彼の姿を見た今、私だけ泣き言なんて言っていられない。
横断歩道、信号待ちで足を止めた。
東京を創造するビル群は小さい頃にアニメで見たロボットのようだ。
昨晩から続いていた曇り空から一筋の光が差す。
なぜだろう。
少しだけ見えた青空は、どこか違っているように思えた。
 

 

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 「青空が違う」はアルバム「真っ白なものは汚したくなる」に収録されている。

 

青空が違う

青空が違う