ツァラトゥストラが何と言おうとも

たまに書いていこうと思います。ジャンルはばらばら。

頼むから ガラスの仮面を 読んでくれ

 

 

 ガラスの仮面という漫画をご存知ですか?

え?知らない?本当に??それはヤバい、具体的に言うと九九が5の段から言えないくらいヤバいですよ

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ガラスの仮面

 

「おそろしい子…!」というフレーズだけなら知っている方もちらほらいるのかもしれない。

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有名な台詞「おそろしい子…!」

1976年から連載が始まり、2014年9月の時点で累計発行部数が5,000万部を突破した大ベストセラー作品だ。

僕が言いたいことは記事のタイトルに尽きる。

 

 

 この圧倒的に面白い漫画が自分の周囲で知られていないことが残念でならない。

ガラスの仮面、間違いなく読めばその素晴らしさが伝わるはずだ。この作品はただの古い少女漫画などではない。

全ての少女漫画はもちろん、全ての王道少年漫画の全てが詰め込まれたといっても過言ではないのだ。

一度読み始めてしまえばきっと、ページをめくるその手を止めることはできないだろう。

次の巻が手元にない時の落胆は想像を超えるはずだ。

星の数ほど存在する漫画作品。

綺羅星のごとく頂点に君臨するこの作品の熱量に触れてみてほしい。

 

 

 

舞台は横浜の港町。

主人公、北島マヤは一見平凡な普通以下の少女だった。

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北島マヤ



父を早くに失った母子家庭。

母娘共々、大衆食堂に暮らしながら働いていた。

勉強はイマイチで、運動もそれほど得意ではない。手先も器用ではなく、間が抜けていて鈍臭かった。

 

そんな彼女が、他人からは病的にさえ思われるほど好んでいたのがお芝居だった。

映画、テレビ、舞台などの媒体に問わず、彼女はあらゆるお芝居を見始めてしまうと、全てを忘れて没頭してしまうのだ。

舞台のチケットのために一晩で120軒もの出前配達したり、冬の海への飛び込んだりしてしまう。

その姿は明らかに異常だ。

 

 

ある日、彼女の才能を理解する人物が現れる。

舞台上の怪我で女優生命を絶たれた往年の大女優であり、「おそろしい子…!」の生みの親、月影千草だ。

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月影千草(おそろしい子…!の人)

千草には野望があった。

劇作家尾崎一連が、月影千草のみ演じることを許し、上映権を全て彼女に託した幻の名作紅天女を演じる女優を自らの手で育てることだ。

マヤは全てを捨てて単身で東京に移り、千草の作り上げた劇団「つきかげ」に加入して女優を目指していく決意をする。

 

マヤの才能は圧倒的な速度で開花していく。冴えなかった平凡な少女が舞台上では誰よりも輝きを放った。

 

だが、マヤの女優人生は決して順調にはいかない。彼女の行く手を阻むものがあったのだ。

 

一つは、紅天女の上映権獲得の為に劇団「つきがけ」を潰そうとする大都芸能の速水社長

 

そしてもう一つは、北島マヤをも凌ぐ同世代の天才で、これからの物語において常に競い合うことになる姫川亜弓だ。

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姫川亜弓

亜弓はマヤとは対極的な存在だった。

世界的な映画監督と大女優の間に生まれ、幼少期から英才的な教育を受けて育った亜弓。

容姿は誰もが振り向く美貌、演劇の才能はもちろん、勉強も運動も学年トップのまさに完璧を絵に描いたような少女だった。

 

マヤは当然、亜弓に対して強い劣等感を持っていた。

あんな子がいるなんて…

勝てるわけない、神様は不平等だ…

彼女には身の上も容姿も演劇の才能も、なにもかもが劣っていると惨めな気持ちでいっぱいだった。

 

 

だが同時に、マヤには知る由もないが、亜弓もまた、マヤに対して畏怖を感じていたのだ。

 

マヤと亜弓。

2人の関係はまさに、スラムダンク流川楓桜木花道NARUTOうちはサスケうずまきナルト、という少年漫画的な構図だ。

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流川と桜木(スラムダンクを読んでいない奴はいないよな?)

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ナルトとサスケ

 

 「紅天女」を演じるという目標に向かって走り出した少女、北島マヤ

様々な困難、障害にぶつかりながらそれらを乗り越えていく。友情、努力、勝利。まさに少年ジャンプの三本柱を兼ね備えた漫画だ。

だがしかし、この漫画はそれらの三本柱に加えて、少女漫画として外せない要素、恋愛(少女漫画のかつての王道、足長おじさん成分など)も含んだ4本柱からなるのだ。

 

そして何よりこの漫画の凄いところは、演劇漫画だということだ。

何を今更、と思うだろうが、これも読めばわかる。

 

演劇とはすなわち物語だ。

つまり、ガラスの仮面という物語の中で、マヤたち登場人物が演じるあらゆる物語を描かなくてはいけない

樋口一葉の「たけくらべ」、マーガレット・ミッチェル風と共に去りぬ」などの有名作品も登場するが、漫画中に登場する劇中劇のほとんどがオリジナル作品なのだ。

しかも、そのどれもが、その作品だけで漫画になるでしょ!というレベルの完成度圧巻である。

 

唯一のネックが、この漫画はまだ完結を迎えておらず連載中である、ということだ…。

長期休載などを含んでいる為、既刊は49巻である。ワンピースの約半分!

 

長々と語ってきたが、間違いなく面白いことは僕が保証します。購入から2週間以内に面白さを実感場合は僕が返金対応いたします。

大丈夫、安心してくれ、想像を高めに設定してもそれを簡単に上回るから。

 

 

いいからとりあえず読め!!

以上!!!

 

テスト前だけどテスト勉強したくないから漫才してみた


テスト前最後の授業。

教授はこれまでの授業の要点を簡単にまとめていく。

「欠席が5,6回ある人は受けても落とします」

少なくとも3回は休んだ記憶があるな…

そんなことを考えながらただ時間が過ぎるのを待つ。

テスト前だけど、あいも変わらず勉強したくなかった。

暇じゃないけど、暇だ。テスト前はいつだってこんな矛盾を孕んだ感情になる。

 

ふと、昨晩見た漫才が思い浮かんだ。

四千頭身という19歳2人と20歳のトリオによる「頭取りゲーム」というネタだ。

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四千頭身


四千頭身「頭とりゲーム(び)」

面白かった。真ん中の坊主の子のツッコミ方が凄くいい雰囲気。

 

頭取りゲームはいいゲームだと思う。

なるほど、新たなゲームを考えれば漫才になるかもしれない。

教室の1番後ろで右端の席、ひっそりと漫才のネタを書きなぐってみた(所要時間20分程度)

 

コンビ名、演者、共にあくまで架空です。

ほんとうに架空。マジで。

ミサイヅって誰?俺ではないことは確か。

 

基本的にツッコミで変態気質、根暗なシライシくん。

基本的にボケで口と頭が悪いミサイヅくんの2人組、SM倶楽部です。

(コンビ名も即興のものでネタのひとつです)

(空白ごとに交互にセリフを言っています)

 

 

「「はいどーも!SM倶楽部です!よろしくお願いしまーす」」

 

ミサイヅ「いやね、僕ら今名乗らせてもらった通りSM倶楽部っていうコンビ名でやらせてもらってるんですけど、皆さんがちょっと考えてるようなイヤラシイ意味ではないんですよ」

 

シライシ「そうなんですよね、勘違いしないでほしい!」 

 

「ただただ普通に、性的な意味でSMプレイが好きってだけなんですよ」

 

「いや、それ皆さんが考えてる通りだわ。

そうじゃないでしょ、誤解されちゃうから」

 

「まあね、ご想像にお任せしますということで」

 

「任せないで、俺の名誉のためにも任せないで!僕がシライシで、彼がミサイヅなので、頭文字とってSM倶楽部、なんですよ」

 

「ひゅー!完璧な説明だね、台本通りじゃん」

 

「台本とかあんまり言うなよ」

 

「ところでシライシさん、最近なにか面白いことあった?」

 

「ないね、なにもない。もうね、人生真っ暗、明日には自殺しようかなと思ってたとこ」

 

「即答、しかも最悪の状況じゃん」

 

「俺なんか早く死んだ方がいいんだよ、無価値なゴミクズなんだ」

 

「ところで、今の話と関係ないんだけど、人生に喜びを見出せず、無価値でゴミクズな方向けの、たちまちハッピー、人生大逆転できるゲームを知ってるんだけど、どうする?やる?」

 

「バリバリ関係あるやん、そんな夢のようなゲームあるの?そんなの聞くまでもないでしょ、一択だわ」

 

「やらないのか、じゃあさ、話変わるけど」

 

「やるってことです!!やらせてください!!」

 

「しょうがないなぁ、のび太くんは」

 

「急なドラえもんなんなの?」

 

「ルールはね、本当にすごい簡単だから、やれば分かるよ。説明するまでもない。むしろ、説明する方が難しい。1足す1が2になるみたいに、当たり前すぎて説明できないみたいに」

 

「おお、なんかよくわからないけどすごいね」

 

「というわけで、やりながらルール把握してくれ」

 

「オッケーオッケー」

 

「それでは、ヨーイ、スタート!」

 

………

 

ミサイヅ「いや、始めろよ!」

 

シライシ「お前からやれよ!」

 

「あれ、シライシさんが先行じゃないの?」

 

「ルール知らない俺から始められないだろ!

仮に俺が先行ならルール説明からやってくれよ!」

 

「チッ、めんどくせーな…」

 

「急に口悪いなぁ」

 

「いや、それ〇〇や!ゲームっていうんだけど」

 

「ほう」

 

「このゲーム、雑談から始まるんですよね
例えば、シライシさん、好きな魚ってなに?」

 

「うーん、ちょっと季節的にはずれちゃうけど、秋刀魚は大好物だね、秋刀魚さえあれば生きていけるレベル」

 

「秋刀魚?あー、あれね、クリスマスの夜にプレゼントを持ってきてくれるおじさんのことね」

 

「いや、それサンタや!」

  

「あー、間違えた、水族館にいる平べったいやつね」

 

「それはマンタや!」

 

「あー、そっか、あれか。トトロで、お前ンチ、おーばけやーしき!っていう男の子でしょ」

 

「いや、それカンタ!

なるほどね、ルール分かってきたよ」

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「っていう具合にね、お互いに似てる単語を匂わせてツッコませるっていうゲームなんですよ。今は俺が全部投げてたけど、思いついた方がバンバン投げていってラリーを続ける感じで」

 

「確かに面白そう、明日も生きようと思えてきた」

 

「効果バツグンじゃん。ちなみにこのゲーム、世界記録は5往復らしいよ」

 

「マジか、世界狙えるじゃん」

 

「え?世界?あー、あれね、」

 

「始まりましたね」

 

「あれでしょ、人が亡くなることね」

 

「いや、それは他界や!
でも、ちょっと不謹慎な単語やめようよ
あ、俺も思いついたよ。

あれね、工事中とかで遠回りしなきゃいけないことね」

 

「…おい、それは迂回だろ。今他界の話だから話変えるなよ」

 

「ツッコミが冷酷!しかもルール分かってなくない?

テンションが他界しちゃってるじゃん、
もう少し優しく突っ込んでくれよ」

 

「あー、あれでしょ、あれ、オサムね、オサム」

 

「オサム…?」

 

「あれだよ、俳優の。映画きいろいゾウ宮崎あおいと共演してた」

 

「…もしかして、向井理か?」

 

「もしかしなくてもそれしかないだろ!」

 

「難しすぎるだろ!雑すぎるって!
もうちょっと優しい振り方してくれ」

 

「あの…シライシさんのことは好きなんだけど、あくまで友達としての好きであって、ごめん、恋人としては…」

 

「優しい振り方ってそういうとじゃないから!
ゲームに戻そう、ムカイ、だったんだよな。
あー、思いついた、あれね、田舎の対義語ね」

 

「えーー… なにそれ…」

 

「いやいや、簡単でしょ、東京とかよく、大◯◯◯って言いますよね」

 

「ちょっと自信ないんだけど言ってもいい?」

 

「いやいや、これきっと小3でも間違えないよ」

 

「は?小3舐めんなよ?」

 

「沸点が分からんわ…」

 

「田舎の対義語でしょ、

もしかして…アッサム?」

 

「アッサム!?アッサムってなに!?」

 

「いや、アッサムって紅茶の名産地で有名な地方の…」

 

「いや、それは知ってるけど!答えは都会だから!なに、お前にとってこの世界はアッサムだけが都会で、その他ぜんぶ田舎なの??」

 

「アッサム以外都会じゃないの〜♪」

 

「私以外私じゃないの、みたいに言うなよ。
そもそも自分で振ったオサム、に引っ張られて、元の単語忘れてるやん。オサム、じゃなくて、ムカイがお題でやってたからね」

 

「あー、そっかー!うわ、騙されたー!」

 

「騙してないけどね」

 

「そっか、あれね、モンスターとか魔王がいっぱいいる魔界みたいなところね、RPGとかの」

 

「…もしかして、魔界?」

 

「正解!」

 

「いや、答え言ってるから!振り方下手クソか!」

 

「あー、あれね」

 

「止まんねえなこいつ」

 

「小学生の頃、俺の家の近くに住んでた彼のことね、野球をやってて、イケメンで、しかも面白くて、みんなの人気者だった彼ね」

 

「……いや誰!?」

 

「サカイくんに決まってるだろ!」

 

「知らんわ!このゲーム、ローカルネタ非対応だから!
もうグダグダだから、一旦お題変えよう」

 

「しょうがないな、今回だけだぞ?」

 

「なんで上からなの?」

 

「最近ね、スマホを変えたんですけどね、学割使ったらすごい安くなったんですよ、凄いですよね学割。
え?学割?あー、あれね」

 

「自分で切り出して自分で振るのいかれてるだろ」

 

「あれね、夏に咲く太陽のような花のことね」

 

「いや、それ向日葵や!いいじゃん、いい振り方じゃん」

 

「やれば出来る子だから」

 

「自分で言っちゃダメだけどね。

俺も思いついた。あれね、交番にいる警察官のことね」

 

「いや、それお巡りや!

いいねー、いいお題出すねぇ、シライシさん、もしかしてこのゲーム歴長い?」

 

「実は言ってなかったんだけど、父親がこのゲームのプロ選手だからね」

 

「天才の血筋じゃん。思いついた、あれね、

シライシさんがよく満員電車の中で女性にやってることね、太ももとか」

 

「いや、それお触りや!」

 

「正解!」

 

「正解じゃねえよ!また俺のイメージ悪くなるから!本当にしてないですからね」

 

「あれね、シライシさんが、1人の女性をお触りして、直後にまた別の人をお触りしようとする時言う台詞ね」

 

「いや、それおかわりや!」

 

「正解!」

 

「いや、だから正解じゃないんだよ!そもそも俺もなんで答えられちゃってるんだよ!」

 

「あれでしょ、夏に咲く太陽のような花のことでしょ?」

 

「それもうやったわ!レパートリー少なすぎだろ!もうええわ!」

 

「「どうも、ありがとうございましたー」」

 

 

 

ここまで読んだあなたも、ここまで書いた俺も、みんな違ってみんなバカ。

(ありがとうございました)

 

ZORN「かんおけ」どれだけ韻踏んでるのか洗い出してみた

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 ZORNというラッパーをご存知だろうか?
「ラップ?東京生まれヒップホップ育ち、ワルそうなやつは大体友達、みたいなやつでしょ?」
「不良っぽい音楽で、YO!とかチェケラッチョ!とかいうやつでしょ?」
という方たちはおそらく聞いたこともない名前だろう。

かくいう僕も彼を聴き始めたのは最近で、かなりニワカで素人です。

 

つい先日、12/27に恵比寿リキッドルームで行われたZORNワンマンライブ「お父さんといっしょ」に行ってきた。

 

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もうね、最高。最&高。

あ、最高ってここにあったのかと。向かいのホームでもなく路地裏の窓でもなくて恵比寿にあったんだ、という感じ。

格好良さ、面白さ、切なさ。全てがそこにある最高の時間だった。

まあ、僕の感想はさておき、ライブの際に改めて思ったのが、ZORNライミング(韻を踏むこと)ヤバすぎない??ということだ。

 

韻を踏む、とはどういうことか。簡単に説明しよう。あくまで僕の解釈によるのであんまり信用しないでね。(ちゃんと説明するのは難しくて大変なので…)

大別すると5種類に分けられる。

①脚韻(言葉の最後で韻を踏む)

ex)・はずむズム・ありがとう、オリゴ

②頭韻(言葉の最初で韻を踏む)

ex)・Coca Cola ・ってぶとの緒を締めよ

③母音を合わせる

ex)・嘘つけないぞ、黒船来航(u o u e a i o)

④子音を合わせる

ex)・アルミ缶の上にあるミカン

詳しくはこちらのサイトで紹介されているので是非ご覧になってください。

フリースタイルダンジョンの韻を解説する(初心者向け) - 韻 fumu.in

韻を踏むってどういう意味⁉韻を踏むための4つの方法。 | Kyohu

 

さて、韻を踏む説明はこのへんにして。

ZORNというラッパーについて、背景や生い立ちなどをガッツリと説明したいが、今回は割愛して「かんおけ」という曲のみを韻に着目(主に母音を合わせる韻)しながら紹介したい。
彼自身の説明は以下の記事が分かりやすくまとめられているのでオススメだ。

ZORN【ラッパー解説】ストリートから日常の幸せへ。フリースタイルダンジョン制覇の可能性がある1人だが・・・ - レペゼン社会不適合者

ZORNが好きすぎる件 | 日本語ラップ.com

 

 

さて、ようやくここから本題だ。

「かんおけ」は曲名の通り、彼の身の回りにおける生死を通して死生観について歌っている。この曲の韻の踏み具合は凄いを通り越して恐怖すら感じる。

もはや韻を踏んでいない箇所を探す方が困難なレベル。韻を踏みながら歌詞として一切の破綻がない。

 

そこで思い立った。

この曲、どれだけ韻を踏んでるのか洗い出してみよう。

僕がこの曲を聴いて韻を踏んでいると認識できた箇所を太字で示した。

韻の説明同様、あくまで僕の考えなので

「あそこも踏んでるだろ!」

「いや、そこは踏んでなくね?」

という箇所もあるだろうが、素人の戯言だと思って大目にみてください。(歌詞を見ると母音があってないように見えるが、歌い方によって韻を踏んでいる、というのもカウントした)

 

それではぜひ歌詞を見ながらお聴きください。

ZORNで「かんおけ」

 


かんおけ

 

 

【歌詞】

子供の頃見たもの

心の底今も残

 

ばあちゃんが俺の手を引いてる 

古びたモリーレー

 

誰の人生も着火済みロウソク 

過去は霞み 遠退く

 

ぼんやりとその記憶
思い出し向かう老人ホームロビー奥

 

認知症のばあちゃん 孫の顔も蜃気楼の中

 

なにももう覚えてない末期症状
おまけにパーキンソン病

足と両手が震え続け

封じようがない 不治の病
橋が崩れてく後ろから 雄基と名前を言っても

 

忘却の彼方にある焼却炉の中
弱るその体 小さく感じた姿に胸が痛くなる


い一室 孤独を窺い知る
侘しい82才の手に重なる9才と7才の手


その光景もいつかはモリーレーン
こうって言って今度は俺が手を引いてく

 

生まれた時がスタートで 死ぬまで落ちる砂時計

だけどガラスは曇ってて 残りの砂は見えない

 

喪服を着てお通夜に 死者に弔い

生者にお悔やみ

 

親戚の伯母さんは余命宣告され去年天国

後世へと路線変更 御霊前と線香

 

手向けの花 遺影はかつてのまま

 

生きてるような死に化粧

まるでイミテーション

 

見ただけなのに氷に手を触れたみた

 

お経と木魚  南無妙法蓮華経

 

皆 何を思って想 安らかにと冥福を祈

礼服の人永久の沈黙

 

セレモニーホールの火葬場

遺族の顔には  物静か喪失感

 

余りに計り知れない

悲しみを残し墓石へはい

 

森羅万象 輪廻転生

死んだ後 誰も知らない所

 

今日は別れた恋人たちも

生まれ変わってもう一度会うらしい

 

生きるも死ぬも一緒同義語

生も死もきっとご近所 一本の糸

人の一生 リリックノートが俺の遺書

 

死ぬ前にどう生きて
死ぬ前にこう生きて
死ぬ前に放棄したら
死ぬ前にもう死んでる
死ぬ前に人を愛す
死ぬ前に家族にキス
死ぬ前に何か残す
死ぬ前にありがとうを言う

明かりが灯る 


一度きりの人生 1秒1秒死へ

日常に忍び音(ね) 霧も切り通して

未知の道を行け 生きろ嬉々として

日々の意味を知れ 木々の幹の威厳

ミリの塵の人間

明日のことなんsiriも知りもしねぇ

 

でもまだ未来は俺等の手の中
今動いた嫁のお腹

 

僕の独断と偏見による太字の箇所は99カ所だった。

上記の歌詞を見てもらえれば理解してもらえると思うが、ほとんど踏んじゃってる。ねこふんじゃった、みたいな感じで踏みまくってきやがる。

ホント頭おかしい。(褒め言葉)

 

今回は「かんおけ」のみを紹介したが、他にも素晴らしい曲はたくさんある。興味を持った方は是非youtubeなどで検索してみてほしい。

僕のオススメはZORN最大のヒット曲である「My life」、妻の連れ子2人に向けて歌った「Letter」、ZORNの背景をとにかく格好良く歌っている「Back bone」などだ。

 

僕のことは嫌いでも、ZORNのことは嫌いにならないでくれ、いや、好きになってくれ!聴いてくれ!頼む!

 

欅坂46「青空が違う」をみんなもっと聴いてくれ

 

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欅坂46というアイドルグループをご存じだろうか?

ここでの説明はあえて省こう、知らない人はwikipediaを見て、youtubeでいくつかの

楽曲をチェックしてみてほしい。

今回の記事は欅坂46自体を紹介したいのではなく、タイトルの通り、ある楽曲について紹介したいだけなのだ。

欅坂46のファンでない限り、この曲を知っている人はかなり少ないのではないだろうかと思う。

この曲、実は正確にいうと欅坂46の曲ではない。

グループ内ユニット「青空とMARRY」志田愛佳菅井友香守屋茜渡辺梨加
渡邉理佐の5人によって構成)の楽曲である。
 

 

とりあえず聴いてみてほしい↓

www.youtube.com

聴いていただけだろうか?

可愛いメンバーによる、可愛いメロディ、可愛い歌詞、という三拍子そろった王道の

アイドルソング、といった印象だと思う。まぁ可愛い、とにかく可愛い。

 

ただ、この曲、ただ可愛い、で終わらせてしまってよいのだろうか?

作詞は例のごとく秋本康だが(本当に書いてるの??)、彼はこの曲にどのような意図を込めたのだろうか?

秋本氏の意図は想像することは可能であっても、正しく理解することは不可能だ。

そこで、僕が勝手に想像し(妄想し)、こんなストーリーだったらエモいな・・・、

このストーリーでドラマ化して欲しいな・・・と思っていたことを述べてみようと思う。

ここからは単なる自慰行為だ。でも、ブログってみんなそんなもんでしょう??

 

【歌詞】

初めて来た都会は人と人を
洗濯機のようにかき混ぜている 
テレビで観てたあの華やかさは 
秩序のないエゴに見える 
 
Siriで聞いた
あなたの住所まで
いくつも電車を乗り換えながら 
標準語しか聞こえない車内は 
降りる駅を間違えそう
私が勝手に押しかけた
遠距離恋愛 一目だけ会いたくて…
 
だって久しぶりの電話中
ずっと咳をしてたから
急に気に
なってしまった
遠くで暮らさなきゃいけないほど
夢はそんなに大事ですか?
青空 どこか違う
 
写真で見たアパートのドアが開き 
風邪で辛そうなあなたを見たら
何も言えなくなって抱きついて 
涙溢れて止まらない
 
散らかった部屋のあちこちに
あなたの努力と 闘いの日々がある
 
来るとわかってたらいつだって
君を迎えに行ったよと
鼻声で叱られたけど
寂しさ我慢しなきゃいけないほど
夢はまだまだ未来ですか?
青空 窓に見えない
 
ひまわりの種を持って来た
鉢植えの土に埋めよう
いつの日か花を咲かせて
太陽がある位置を教える
忘れないで 青空を…
 
久しぶりの電話中
ずっと咳をしてたから
急に気になってしまった
遠くで暮らさなきゃいけないほど
夢はそんなに大事ですか?
だけど言えなくて
 
風邪が伝染るからとキスしない
そんなあなたに背伸びして
強引に
キスをしちゃった
本当は一緒に帰って欲しいけど
夢を絶対叶えて欲しい
青空 少し見えた
 
青空 どこか違う
 
~~~~~妄想~~~~~
舞台は四国。瀬戸内海に面し、山に囲まれた田舎の小さな町。
地方公務員の父、短大卒の母を持ち、一人娘として厳しくも愛されながら育った少女。
実家が3代続く酒屋で、ガサツな父親と大らかな母親の間に生まれ、8歳下の妹を持つ少年。
 
きっかけはもう、思い出せない。小学生の頃からの幼馴染みの2人の間に友情を超えた感情が生まれたのはいつだっただろうか?
この気持ちが恋心であることを自覚したのは少女が先だったかもしれない。
けれど、恋心と気づいていなかったが、(あるいは気づきたくなかっただけかもしれない)かすかな、しかし確かな痛みを胸に感じたのは少年が先だったのかもしれない。
2人は自然と惹かれあい、紆余曲折を経て、高校生の頃に付き合い始めた。
恋人である前に幼馴染みであったので、付き合い始めたとはいえ関係性が変わることはなかったし恋愛的な意味で進展するのは世間一般的な高校生カップルたちに比べればかなり遅い方だったが、ゆるっとした幸せな日々を過ごしていた。
 
付き合い始めて約1年が経過した高2の秋。
高校生には避けられない進路という大問題。
ただ一日一日を過ごしていた高校生たちに、数年後、数十年後を想像しろ、やりたいことを考えろ、と突きつけられる唐突な至上命令。
地方の進学校に進学した2人だったが、2人の将来設計は大きく異なっていた。
 
少年は東京に行きたかった。ただこのまま実家の酒屋を継いで、親父のように、ずっとこの小さな町で過ごしたくはなかった。中学生の頃に修学旅行で訪れた東京は、少年の心を一発で撃ち抜いた。弁護士になる。その夢を叶えるだけならばきっと地元の大学の法学部に進学しても可能だろう。だが、少年はあの東京に行き、あの東京で学び、あの東京で弁護士になりたかったのだ。
 
一方少女は、父親と同じ道にいこうと決めていた。この町が好きだし、中学生の頃に修学旅行で行った東京は私には合わない華やかな街だと思った。
この町を離れることなんて想像したこともなかった。何の面白みもないけれど、今の成績なら合格は余裕、家から通える国立大学に進学し、地方公務員になって堅実に暮らしていこうと思っていた。
彼が酒屋を継ぎたくないことはうすうす感じていたし、弁護士になりたいという夢を抱いていることも風のうわさで聞いていた。
 
「ーーーねえ、進路、もう決めた?」
2人の間ではなんとなく避けていた話題。口火を切ったのは彼女の方だった。
「弁護士になりたいんだよね。親父にはまだ話せてないけど、酒屋は
継ぎたくないんだ」
「そうなんだ。すごいなー、弁護士かぁ。三大資格だもんね」
「お前は?」
「私はまだ全然。でも一応、志望校は決めたよ。四国大の教育学部教育学部ってみんな先生のなるのかと思ってたけど、そうでもないんだね。とりあえずそこにいって、公務員になりたいなぁとは思ってるけど。。。弁護士ってことは法学部だよね。四国大さ、医学部と法学部がダントツでモテるらしいよ~笑」
彼が黙る。もう長年の付き合いだ。私はすぐに理解する。この表情を見せるのは大抵、私が地雷を踏んだ時だ。
 
「・・・いや、俺さ、東京に行きたいんだよね。成績的にはまだ厳しいんだけど、
東大に行きたくて」
少しの間。その一瞬は、永遠を超えるような。
「そ、そうなんだ!と、東大かぁ・・・。すごすぎて想像もできないや」
ーーーうまく、笑えただろうか?私は上手に、何事もないように振る舞えているだろうか?いつもより過剰な笑顔を私は無理矢理貼り付ける。
 
彼が東京の大学に進学するつもりだというのにはとても驚いた。だって、話したことはなかったけれど、私と同じあの大学の法学部に行くものだと思っていたから。
なんで?と言いたかった。
私と一緒の大学に行きたいと思わないの?と聞いてしまえるのならば楽だった。
彼の夢は応援したい。これはまぎれもない本心だ。でも、それでも、この気持ちもまた本心なのだ。
 
彼は父親との幾度もの話し合いを経て、在学中に司法試験に合格すること、授業料免除になる成績を維持することを条件に、東京の大学に進学し、弁護士を目指すことを認められた。
彼は未だC判定が並ぶ一歩上の大学を目指し、目を覚ましている時には常に勉強にあてるような生活になった。私は10回受けても落ちることはないような成績だったが、別離の恐怖を考えないように勉強に没頭した。
 
あっという間に時間は流れ、私は前期試験で合格した。彼は、残念ながら不合格だった。
浪人も視野にいれていたようだが、なんとか後期試験で滑り込み、見事2人とも現役合格を果たした。
 
 
別れは、あっさりとしたものだった。
2人の最寄駅のホーム。本数が少ないこの駅では珍しく、その場にいるのは2人きりだった。
 
「まあ、色々連絡するよ。LINEもするし、電話もする」
真っ黒で大きなスーツケース。彼はこれだけ持って、あの東京にこれから向かうのだ。それも1人で。
「うん。東京の可愛い子に浮気すんなよ〜」
いつものように茶化しておどけてみせる。
だって、そうでもしないと、堪え切れない。
「するわけねえだろ」
彼らだけのホームに放送が鳴り響く。電車はもうすぐだ。
まあ、なんだ、休みの度には帰ってくるから。元気でな、お互いに」
「うん、お互いに。あんまり無理しないで」
「いやー、在学中に司法試験通らないといけないから、多少の無理はしないとなんだよな…」
出会ってからもう12年。私たちは初めて、遠くで暮らすことになる。
遠くの親戚より近くの他人、そんな言葉が脳裏によぎった。
「じゃあ、行くわ」
「うん」
遠ざかって行く電車。気が抜けたように立ち尽くし、あっという間に見えなくなった。
ふと、空を見上げる。まだ肌寒さは残るけれど、雲ひとつなき綺麗な青空が春の到来を知らせているようだった。
 
 
慣れない新生活は時計を早送りにした。
私は民謡合唱研究会の活動と、駅前に新しくできたレストランのアルバイトの2つが生活の主軸となった。
一方彼は、司法試験予備校と大学とのダブルスクールをしつつ、予備校代を捻出するために居酒屋でアルバイトを始めたらしい。
毎日だった連絡の頻度は自然と、2日に一度、3日に一度と減っていった。
仕方なかった。それでも私は、彼以外の男性を恋愛的に好きになる想像すらもできなかった。
 
気付けば長かった梅雨が終わり、夏が始まった。私は地元の夏が好きだった。どうしようもない暑さだけれど、山も海も、夏が1番輝いているからだ。
東京も夏に入ったのだろうか。まあ、離れているとはいえ所詮数百キロ、気候なんてそんなに変わらないか、なんてことを考えていると携帯が鳴った。週に一度は電話しようと決めていたが、試験期間は控えていたので実に3週間ぶりの電話だ。なんだか少し緊張してしまう。
 
「もしもし、ごめん、ちょっと鼻声で聞き取りにくいかも」
久しぶりの彼の声は、咳混じりで、鼻声で、本当にひどいものだった。
そういえば季節の変わり目に弱くて、初夏には風邪を引くことが多かったなぁなんて思い出す。
「ちょっと、大丈夫?病院行った?ご飯とかは食べてる?」
母親みたいだな、なんて鼻をすすりながら笑う。笑い事じゃない。
「病院は行ってないけど、まあ風邪薬飲んだし大丈夫でしょ」
他人事のように考えるあなたと、他人事には思えない私。昔からそうなのだ。この人は、自分に関する頓着がなさすぎる。
「風邪といったって、こじらせたら相当キツイでしょう?熱は?」
「多分ないよ、あっても微熱」
私まで熱が出そうだ。この人、体温計すら持ってないなんて!
「バイトは休ませてもらってるし、大丈夫だよ。それよりさ、この前の試験なんだけどーーー」
それから後の話は、申し訳ないけれどほとんど頭に入ってこなかった。咳ばかりしている声が私を集中から遠ざける。
「とにかく、今日は早く寝てね。治るまで安静にしてよ」
「大げさだな、分かってるよ。じゃあ、また来週」
電話が切れる。まぁ、どうせいつもの軽い風邪だろうという楽観と万が一があったら…という悲観がせめぎ合う。
 
その夜、嫌な夢を見た。
風邪が治らぬままバイトに復帰し、予備校と大学にも通い、疲労がたたってスクランブル交差点の真ん中で倒れる彼。横たわる彼に目をくれるのは周りのわずかな人間だけで、救いの手を差し伸べる者は誰もいない。
 
「うっわ、倒れてんじゃん」
「酔っ払い?アル中?」
「邪魔だなオイ!こんなとこで寝てんじゃねえよ!」
そんな罵声だけが彼の上を飛び交う。
私はその一部始終を目の前で見ているというのに、身体を動かすどころか声を発することさえできない。
 私は耐えきれなくなって目を閉じた。
 
夢はそこで終わった。
寝汗でぐっしょりの身体が不快だが、それよりも心的なダメージが響いていた。
気分を変えようとカーテンを開ける。途端、あまりの眩しさに目を細めた。
そういえば昨晩の天気予報で、明日は雲ひとつない夏晴れで、記録的な猛暑になると言っていたっけ。
 
そうだ、東京、行こう。
 
だってあまりに天気がよかったから、なんだか君に会いたくなってしまった。
時刻は朝7時。siriに彼の家までの行き先を尋ねてみる。どうやら、夕方には着けるらしい。
生まれて初めてのサボりになっちゃうけれど、1日くらい許してもらえるはずだ。
 
 
東京の駅は私にとって迷宮だった。
私の最寄駅には3つしかない自動改札はどの駅にも数え切れないほどあり、かつ、それらのすべてを常に人が行き交っている。
引っ越した時に教えてもらった君が住む学生アパートの住所まで、あと2回乗り換えなくてはいけない。標準語しか聞こえない車内は降りる駅を間違えてしまいそうだ。
着く前に連絡した方がいいのかなと悩んだけれど、勝手に押しかけてみることにした。
まさか私が学校をサボって東京に来るなんて夢にも思わないだろう。
驚く君の顔を想像する。そこには、人波に飲まれそうになりながらニヤニヤしてしまう私がいた。
 
恐る恐るインターホンを押す。
写真で見たアパートのドアが開く。思っていた通り、風邪で辛そうなあなたが出てきた。
「…え?なんで…?」
キョトンとした顔。予想していたよりもずっと間抜けだ。
なのに、全然、笑えない。
ーーーあぁ、だめだ。
何も言えない。溢れる想いは止まらないのに言葉にできない。行き先を失ったそれは、涙になってこぼれだす。
私はありったけの想いを込めて抱きついた。
 
 
「…取り乱してごめん…」
これじゃあ、どっちが介抱されているんだ分からない有様だった。
「落ち着いた?いやー、ホントにめちゃくちゃ驚いたよ」
ここ、分かりづらかったろ?なんて言いながらお茶を用意してくれている。
改めて部屋を見渡す。参考書やノートで散らかった六畳のワンルーム。そのあちこちにあなたの努力と闘いの日々があった。
「来ると分かってたらいつだって迎えに行ったのに。連絡しろよな。部屋だって片付けといたのに」
鼻声で叱る君の姿が、今はなんだかとても愛おしい。 
同時に思う。もう後何時間後には私は1人で東京を発ち、明日には四国に戻っている。久しぶりに会えた喜びがこれからの寂しさを引き立ててしまうのだ。
寂しさを我慢しなきゃいけないほど、君の夢はまだまだ未来なのだろうか?
遠くで暮らさなきゃいけないほど、夢はそんなに大事なのだろうか?
離れて半年が経過した。もう半年だけれど、まだ半年でしかない。
カーテンの隙間からは今の私の気持ちを映したかのような曇天が垣間見える。
 今朝はあんなにきれいだったのに。東京では青空が見えない。
 
熱を測らせてみると38度もあった。
買ってきたゼリーとポカリスエット、風邪薬を飲ませる。
「明日の朝も引いてなかったら病院ね」
「わかったよ」
「とりあえず寝て!早く!」
やはり疲れがたまっていたのだろう。彼はすぐに眠りについた。
寝静まった彼の部屋に一人。
置き時計が時間を刻む音だけが響く。
「・・・とりあえず、片付けよう」
 
 
それなりに散らかっていた部屋だったが、なにせ六畳一間の狭い部屋だ。
1時間ほどでほとんど片付いた。
ーーーよし。じゃあ、アレをやろう。家を出る前に思いついたちょっとしたいたずら。
入居と同時花を育て始めていたようだが枯らしてしまったようで、持て余した鉢植えがあると言っていたのを覚えていたのだ。
持ってきたのは、私の家で育てているひまわりの種だった。
こんな小さな鉢植えでは到底育てられない。
大きくなったら私の身長すら超えてしのだから。
きっと、咲かないだろう。当然だ。普段ほとんどカーテンを開けない生活を送っているのだろう。埃の積もり方を見れば明らかだった。
大きな花を咲かせて、太陽の位置を彼に教えてあげてほしい。
離れていても空はつながっているのだ。今日は四国と違ってあいにくの曇り空だけれど、いつかきっと同じ青空が見える日が来るかもしれない。
 
幸いなことに熱は下がっていた。
咳はまだ残っているようだが、どうやらただの夏風邪だったようで、もうじき回復するだろう。
「じゃあ、そろそろ行くね」
名残は尽きない。
本当は一緒に帰って欲しい、なんて考えてしまう。
「あぁ、助かったよ。次はちゃんと来る前に連絡しろよな」
だいぶよくなった顔色で頬笑む君。
うん。今はそれだけで十分だ。
「夏休みには帰るよ」
「無理しすぎないでね」
あのときと同じあっさりとした別れだ。
…いやまぁ、別に不満はないけれど。
「ねぇ」
振り返り一歩踏み出す。
背伸びする私。
2人の距離は一瞬ゼロになった。
「ーーー風邪が伝染るからダメって言ったのに」
照れながら怒る君。
自分から仕掛けておいて小っ恥ずかしくなる私。
「伝染ったら看病しに来てね。
じゃあ、バイバイ」
返事を待たずに歩き出す。
名残は尽きないけれど。
東京で1人、夢に向かってひた走る彼の姿を見た今、私だけ泣き言なんて言っていられない。
横断歩道、信号待ちで足を止めた。
東京を創造するビル群は小さい頃にアニメで見たロボットのようだ。
昨晩から続いていた曇り空から一筋の光が差す。
なぜだろう。
少しだけ見えた青空は、どこか違っているように思えた。
 

 

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 「青空が違う」はアルバム「真っ白なものは汚したくなる」に収録されている。

 

青空が違う

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